ジブリの「おもひでぽろぽろ」の文庫版を読んでみた.主人公の思い出す子供の頃 (僕とほとんど同い年だろう) の思い出が原作をほぼ忠実に再現したものになっているが,主人公の今 (といっても1980年代) の物語は,小津安二郎のあの映画を彷彿させるものである.作中でも,名前は出ないが,「映画の中でのように」として参照されている.
ところがあの映画がどれなのだかなかなか判明しなかった,杉村春子の演じるお母さんが,原節子の演じるちょっと婚期をのがしかかった女性に息子の嫁になってくれれば,というシーンは Berlin の映画館 (Arsenal かあるいはもっと大きな映画館だっただろうか) で何回もみたはずなのに.これが「麦秋」 (1951) だということが確認できるまでにひどく時間がかかってしまった.#YasujiroOzu