「発達障害」に関するネット上の記事 (記事や,記事を書いた人個人を誹謗中傷するのが目的ではないので,link は張らないことにする) の ASD 判定条件の一つとして,何の注釈もなく,

"・興味ある領域に関する膨大な知識…など"

というのが挙げられていた.思考能力に障害のある人たちが,通常の思考能力を持っている子供を差別する社会構造の透けて見える記述だと思う.この記事の後の方には,

"自閉症スペクトラムのきょうだいがいる場合、もう一人もそうである確率について、アメリカで研究が行われた。
その結果、一卵性双生児の時は77%、二卵性は31%、通常のきょうだいは20%だった。
このことによって、遺伝が関係していることはわかった。"

というあからさまな fallacy もあり,この記事を書いた人が,上で「思考能力に障害のある人たちが,…」と書いたことの本物の例になっている可能性も示唆されている.

Fallacy と書いたことには,注釈が必要かもしれないので,補足しておく.

ある条件が,

"一卵性双生児の時は77%、二卵性は31%、通常のきょうだいは20%だった。
このことによって、遺伝が関係していることはわかった。"

という推論の問題点なのだが,一卵性双生児か,二卵性双生児か "通常のきょうだい" (この差別表現はもとの記事のもので僕が書いたわけではない) なのかで,その子供達の間の関係や,兄弟たちに対する親の差別化の度合い,また社会のその子供達に対する扱いの違いも変わって来ることが予想されるので,それらの影響の有無を吟味せずに断定的に "わかった" と言ってしまうのは fallacy でしかないだろう.このような統計を取るのだったら,同じ統計データの取得時に,明らかに遺伝と関連しない複数の条件についても出現の割合を調べて,参照データとして検証しない限り,遺伝に関する結論を (断定でなくとも) 出してしまうのは,間違いである (と断定してしまっているが,これは,差別や偏見が絡んでしまいそうな issue なので断定的に強調すべきことだと思って断定しているので自己矛盾ではない,と思う).

書き直しをして thread の先のリンクが切れたので,つなぎの toot を書いておく, は便利な機能も沢山あるのだが,tree の notes を保存する再編集ができないことや \(\LaTeX\) の機能 (mathsjack) の欠如など,majority に属す人にはいらないかもしれないが僕には不可欠な機能が,いくつか欠けているのが個人的には非常に残念である. fedibird.com/web/statuses/1095

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リンクが切れて孤立した toot が微妙に error を起こすようなので,内容を以下にもう一度コピーして,孤立していない toot を作っておく:

しかもこの記事では,引用した "統計データ" について,「アメリカの研究で」といって "引用" していて, の分類でよく "argument from authority" と言われるものが臆面もなく顔を出している.この「アメリカの研究で」とか,「 を使った研究で」とか,「 での計算で」とか,authority を傘に着た fallacy が日本の に蔓延しているのは,authority 万歳の が悪いのか, が悪いのか,(verschwörungstheoretisch に言えば) それを裏で操っているやつらが悪いのか,多分その全部なんだろうが,何とかしてほしいものである.

と言ったときにそれは議論の論理のほつれについて言っているので,結論の真偽について言っているのではない,というのは,どのくらいの人が分かっているのかちょっと判断しづらいところがある.これに関連することについては,ちょっと前に「現代思想」誌に書いた (もちろんここで掲載雑誌の名前を挙げたこと自体,argument from authority タイプの fallacy である) 作文のこのあたり
fuchino.ddo.jp/misc/logic-2022
でも議論したところのものである:

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