喜入克著「高校の現実:生徒指導の現場から」(草思社,2007.3)に、「自主退学勧告」をめぐって弁護士と対峙した事例が紹介されていた。学校側はこの学校ではもはや続けていけない、とはいえ他の学校が本人に向いている場合もあるからスムーズに転校できるように「自主退学」「進路変更」に持って行きたいということであった。通信制高校への「進路変更」を勧めたんだろうと想像できるが、通信制高校は学習を継続していくにも困難な環境で、転編入生のうち半分近くが1単位も修得できていないとの現実が小林裕光氏により報告されている(「埼玉県の高等学校通信制課程における諸問題について」)。これではいったい誰のための転学だったのかわからない。