クロスフォリオにも投稿しました。
清光の肖像画の話。
※モブしか出ない
https://xfolio.jp/portfolio/vp_dcr/works/830177
@atoinfedirori 今はもうない(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
なぜなのか…
そして他の人のいいねも見られなくなっちゃいましたね…
どんどん沈んでいく………(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
感想セーフ…!?よかった…(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
でも感情が昂りすぎて、感想が感想の体を成していないものもあるかもしれない…気をつけます………
RT後のツイート表示機能ってあるんですか!?
そして私もまた、彼女の魅力に取り憑かれてしまった。
絵の中の乙女に、懸想してしまったのである。
それからは毎日、両親の目を盗んで彼女の姿を眺めた。薄い唇を引き結んだその静かな表情は、私の心情に優しく寄り添ってくれるように思われた。
家のことを顧みず、遊び歩くだけの父。
父の爛れた女性問題に金切り声を上げてばかりの母。
血の繋がった彼らよりも、絵の中の彼女のほうがずっと、私の心に近かった。
この女性は今、どうしているのだろうか。少なくとも私が生まれてからは、一度もこの屋敷に来ていないはず。こんな美人、ひと目見れば頭から消えないはずだ。となれば、父に愛想を尽かして去ってしまったのだろうか。それでいい、とは思うけれど、一方で至極残念にも思えた。
どうか生きていてほしい。父の手も母の声も届かない場所で。この絵を見る度、私はそう祈らずにいられないのだ。
曰く、卑しい下等民族の出でありながら、その若い肉体でもって父に取り入り、妾の座を得た魔性の女だと。
それはおよそ幼い息子に語る内容ではなかったが、私は幼いなりに理解した…彼女のことは二度と口にしてはならないと。
あの儚げな女性に、魔性という言葉ほど似合わぬものもないと思ったりもした。
好色な父のこと、きっと彼女の心すら顧みずに無理やり手中に収めたのであろう。
この頃には私は、すでに父への信頼というものが皆無であったから、まあ母の言葉もそれほど衝撃ではなかったのである。
それにしても。いつも違う女性を連れている父だが、彼女たちの絵を描かせたりはしなかった。それがあの黒髪の乙女だけは、肖像画を作成し美しい額縁に嵌め、自室にこっそりと隠し持っていたわけである。なるほど確かに、別格なのだろう。
とある肖像.
✒加州清光
それは父の書斎にあった。
ベロアのカーテンに隠されて、ひっそりとそこに。
微笑んでいるようにも、泣いているようにも見えるその憂いを帯びた表情に、幼い私は心奪われた。
「あの女は魔女よ」
興奮で息を切らしながらその素晴らしい絵について語って聞かせると、そう母は吐き捨てた。
「僕はお前さんが好きだ」
えっ、という驚きの声まで重なる。
ふたりはお互いを、豆鉄砲をくらった鳩のような顔で見つめた。
「あの、俺が言う好きっていうのは友達とかじゃないほうの好きで」
うろたえる清光を見て則宗は頬をゆるませた。
繊細な顔とは不釣り合いにも思える節ばった手が伸びてくる。頬に触れる直前に、則宗は首を傾げた
「……触れてもいいかい」
ひと呼吸するだけの時間、則宗は持ってくれた。指先がそっと頬をなぞったのは、清光が頷いて顔を上げてからだった。
「僕の好きは、このまま抱きしめたいって意味の好きだ」
まだ早い、なんて思っていた自分を清光はあっさり蹴飛ばした。
だって好きな人が自分を同じように好きだと言ってくれているのだ。迷う理由がどこにあると言うのだろう。
清光はそのまま則宗に抱きつき、「俺も」と答えた。
軽く笑った声は少し上ずったかもしれない。
楽しいこと、増しいことをなんてことない調子で話すのがkiyoというアカウントの良さだと清光も自覚している。舞台裏にそんな事情があることなんて、別に聞きたくなかったかもしれない。
そう思いながら顔を上げた清光はぽかんとロを開けて則を見た。
鼻の頭が赤い。目も少しうるんでいる。
もしかしてこの人泣いてるんだるうか。今の俺の話で?
「僕は」
と則宗は少し鼻声で言った。
「僕もそうだった。僕には何もないと思っていたときに、あのアカウントを見つけたんだ。暗い夜の海でやっと見つけた明かりみたいに、お前さんは僕を岸辺へ導いてくれた」
それはちょっと大げさなんじゃない、なんて軽口は浮かびもしなかった。
清光は嬉しかった。手探りではじめた自分のためのささやかな営みが、誰かの心を揺らし、ほんの少しだけ明るくできたのだ。
そしてそのことを、他でもない則宗が伝えてくれた。
淡い恋が、これだけで報われたような気がした。
「あの、俺さ」
「清光、僕は」
声が重なった。とっさに言葉を飲み込もうとして、でも今言わないでいつ言うんだという気がした。
まだきっと早い。自分の心だって追いついていないと思う。でも、今だと思った。
「俺、則宗さんが好き」
その日僕は、女神を見た。
絶対に近付いてはならないと言われていた敷地の外れの古い塔、
そこにボールを飛ばしてしまった僕は、
ひとり足を踏み入れた。
ずっと使われていないはずなのに、
そこは不思議と整って、
蜘蛛の巣ひとつ見当たらなかった。
…まるで誰かが、手入れをしているかのような。
そんな馬鹿な。
だけど胸は高鳴って、足は自然と階段へ向かった。
ボールはすぐに見つかった。
割れたガラスに頭を掻きながら、ポケットに捩じ込む。
まだ帰る気にはなれなかった。
ここには何か、何かがある。
冒険心を煽られた僕は、そうして塔の最上階、古びた扉の隙間から、彼女を見たのだ。
ゆっくりとベッドから身を起こした彼女の肩から、シルクのシーツが滑り落ちる。
何も纏っていないなめらかな肌を、朝のやわらかな光が撫でていく。
髪はこの辺りでは見かけない黒、陽に透けて赤く、振り返ったその瞳もまた、濡れたような赤だった。
絵本の挿絵なんかで見る女神様とは真逆の色彩、
けれど僕には、彼女こそがこの世界の…いや、僕にとっての女神だと思えて。
思わず息を飲んだ瞬間、あの赤とかち合った。
「…あんた、誰…?」
☆これは亡き父が愛したという女に惚れる、父そっくりの則宗坊っちゃんの則清(ひたすら清光が可哀想)
@atoinfedirori アッよかった…🌸ならあんしんですね!!🌸(何が)