いろんな店を冷やかして、
いろんなものを見て、
その全てにあの子は目を輝かせて。
最後に僕らは、夕日の沈むカフェへとたどり着いた。
海辺の寂れた小さな店、
客なんか他にいなくて、
僕らは浜を見下ろすいっとういい席へと腰を落ち着けた。
メニューはひとつだけ、
夕日色のゼリーパフェ。
それをすくって口に入れながら、
あの子は沈む夕日を見つめていた。
このまま逃げてしまおうか。
言いたくてたまらなかった。
だけど、
どうしても言えなかった。
言ったら彼を困らせてしまう。
だから僕らはただ黙って、
沈む赤を見つめていた。