「復興」をどういう意思決定プロセスと体制で進めるかという根幹となる自治体で職員が減ってしまうと身動きできなくなるので、今後どういう体制で進めていくかは真剣に検討しておいた方がいいと思います。

福島の避難自治体の復興計画がとんちんかんであったり、住民側から自治体との意思疎通がまったくできない(自治体による差が大きいですが)、とのクレームが出る理由の大きな原因に、自治体によっては、半数が応援職員になっており、役場内での意思疎通や意思決定ができないことも大きいと思います。

応援職員は、人数にはなったとしても、大きな意思決定や、既存の進め方への変更することは、まずできませんから、硬直的な仕事の進め方が大勢になっていくと思います。

「県によると、早期退職者のうち市町の公立病院の職員が96人を占めた。市町長部局では計47人。輪島17人、七尾11人、珠洲と能登が各8人、穴水2人、志賀1人だった。2023年4月時点の6市町の職員数は市町長部局で1253人という。」

能登地震被災6市町の職員143人が早期退職 石川県職員109人も
asahi.com/articles/ASS9N55SDS9

応援職員は、地元の誰と意思疎通すればいいかもわからないので、自然、住民側との接触も薄れていきます。

結果、役所本体の動きが鈍くなる一方で、中央と地元政治との太いパイプを持った特定個人や外部受注組織が潤沢な復興予算で活躍するという歪な状況が発生してしまうことになりました。

こうなると、元々の住民は置き去りですし、いったいなんのための復興なのか、という話になります。

(自治体を存続させるため、「復興した」という対外的メンツを保つため、にしか見えない)

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東日本大震災の調査報告で、自治体職員の仕事の過酷さとメンタルヘルスの不良、自殺者の多さは既に多く報告されています。

自治体が災害対応業務を一手に担うというのは、大災害の場合は、みずからも被災者である自治体職員の犠牲なしには成立しない、というのが現状だと思います。

ソーシャルメディアで、自治体の対応の悪さを指摘する声も多いのですが、背景には、圧倒的なマンパワーの不足と、日本の災害時対応の制度的脆弱さがあることは踏まえておいた方がいいと思います。

応援職員にしてみても、増えれば増えるほど意思疎通の難しさが増し、硬直性が増すということから考えても、現行の仕組みでは対応が無理だと思います。

OECD加盟国内で、公務員の比率が最低である、恒常的に公務員の人員が足りない日本の圧倒的なマンパワー不足も大きな背景のひとつだと思います。

小さな政府を志向するのに、公共サービスの充実を求めるというのは無理があると思います。

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