広告代理店の宣伝手法を環境省が福島や放射線にかんするリスクコミュニケーションで用いていることへ私が極めて批判的なのは、これらの社会合意のできていないリスクにかかわる問題や、どこかで不利益を被る人が出てくる論争的な施策対応においては、対応者側に求められるもっとも重要な要素は「誠実さ」になるからです。
広告代理店手法は、耳目を集めることに特化しているため、「誠実さ」は二の次三の次、そんなことを考えもしないということの方が多いと思います。
そうした宣伝手法を用いるとそれだけで、多くの人たち、特に利害当事者のなかでも不利益を被る人たちや、議論のなかで重要なアクターとなるもともと懐疑的な人から強い反発を受けることにつながります。
宣伝とリスクコミュニケーションは、ベースとなるものがまったく異なります。
環境省が、そうした配慮を一切かなぐり捨てて、官製広告代理店となったことについては、私はかなり衝撃を受けました。
環境省は、少なくとも福島案件については、それまで実直に事業を進めており、しばしばそれは硬直的ではありましたが、それでもその実直さについては私は評価していました。
官製広告屋と成り果て、実直さを捨てた環境省にいいところなど何もない、というのが私の感想です。