東京国立博物館にてリーディングミュージアム『東京方舟博覧記』観劇。上野公園の屋外で公演する朗読劇というめったにない観劇体験で、俳優にとっても初めての経験になっているようだった。
ストーリーとしては東博創立と上野戦争を絡めながら救いのあるお話で、刀ミュの東京心覚と通じるところがあるかも。市民の日常が犠牲になることや自分が直接戦に関わってなくても新政府側の人間として非を感じている描写があったのがよかった。推しは幕府軍の優しい青年役で、役柄としてとても合っていた。自分の暮らす街や人を守りたいだけの人で、そういう人を誠心誠意生きることが芝居だ、とでも言ってるかのようなお芝居をするようになりましたね。
日本史の授業で習ったような内戦でも普通の市民の日常と命を奪う戦争って、いつの時代でもやっぱり駄目だなと思う。
チケット代は前方席が2万と朗読劇にしては高額でいろいろと思うところがあったが、本物の東博の建物は背景美術として素晴らしく、夜の上野公園の風を感じながら上野のお話を観たのはなんとも言えないよさがあった。俳優たちが芝居する奥で、閉館した館内の暗い灯りが静かに灯っているのが、消えることのない文化の灯火のようだった。