という訳で本日はこちら、コブクロ JUKE BOX reading musical ”FAMILY”でした。朗読劇。結末に触れずに感想を言うのが難しいので伏せる
「生きること」をとても肯定していた。結末から言ってしまうと白い小部屋に閉じ込められた、生死の境を彷徨う二人の関係は父と子で、父は子が生まれる前に事故死している。子は生まれる前という状況。部屋の中央の椅子に座った方がこの部屋を出て生き延びることができる。最終的に父は子に椅子を譲る。
流司さんは父親役。二人が親子なのは中盤で気づくのだが、この物語の本質はそこではない。「内気で冴えない人生だから」と生き延びることを拒む子の背中を押す父の、生きることへの肯定が本当に温かくて。冴えなくても喧嘩してもそれが生きることだから、と生きることをすごく肯定していた。クライマックスで父が子の背中を押す曲がまさに「生の賛歌」といった感じで、力強さ、温もり、流司さんの歌声が生きることそのものを讃えていた。生きることは素晴らしいよと押し付ける感じではなく、幸せになってほしいと突き放す感じでもなく、冴えなくても辛くてもそれが生きることだよと、これから楽しいだけではない人生を送る子供をやさしく包むようだった。21グラムのような歌詞を描く人が、こんなふうに生を歌えるなんて。
コブクロJBM こうだったらよかったのにな~の話
母親の視点がもう少しあったらよかったのに。母子家庭の経済的困窮や精神的な困難は、母親とあの二人とでは視点が全然違うものになると思う。この物語の主体はそこではないのでこうなったのもわかるけど、この手の“良い話”はいままでも散々見てきたよ。美談に落ち着かせたことで革新性に欠けている。
結末で根性論にせず「何者にもなれなくてもあなた自身だ」「どんな人生でもいい」とまとめられるなら、母親を描いてもこの物語の主体となるメッセージは損なわれない気がしたんです。