おれの家は政治的な会話なんてまったくなかったが、最初に天皇制的なものに反感をもちはじめたのは、中学の社会の教科書に載ってた日本国憲法を読んで素朴に「なんで人々の平等と身分制が並立してんだよ」と思ったのと、おなじく中学のときの全校集会で校長がシャツ出しのダラっとした格好でステージにあがって「この姿を見てどう思うか。君たちはたるんどる。きっちりとした格好をされてる天皇陛下を見習いなさい」ってパフォーマンスをやったのを見てから。

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あとこれも中学の時の話なんだけど、天皇と皇后(明仁&美智子)が中学校の近くの国道を車に乗ってパレード……ってほどではないけどノロノロ走って沿道の見物人に手を振るみたいなイベントがあったのね。

平日の夕方で、ちょうど中学の放課後の時間だった。沿道はおもにうちの祖母も含む近所のおばあさん方で溢れていて(うちの家は中学校まで徒歩3分のところにあった)、おれも本当は他の場所から見物しようと思ってたけどその集団の後ろの方で立って見ていた。天皇の乗ってる車が来るとおばあさんたちはものすごい熱狂を見せ、ミニ日本国旗を振りまくっていた。びっくりしたね。幼少期の皇国教育の成果なのか、ミッチーブームの記憶が蘇ったのか。
そして、あの国旗はいったい誰が用意したんやろ。

うちの母親も見物に来ていたが、うしろの方でだまって見てるだけであとで「すっごい化粧濃かったね」とだけ言ってた。

中学校でもその日は当然その話題になったが、担任の教師は「窓でほうきでも持って構えてみろ、逮捕されるぞ」と冗談を言っていた。おれはそういうのを喜んでやりそうな友達をけしかけて本当にやらせようとしたが、いい窓が見つからなかった。

でも一番イヤだったのが、宮内庁職員だか皇宮警察だか知らないけど、黒いスーツを着た警備のやつ。
中学校は山の上にあって、そこへ続く道の途中にちょうどパレードをやってる国道をよく見下ろせる所があった。黒服の警備はそこに立って、おれたちに「ここにいてはいけません」と言うわけ。よく覚えちゃないけどたぶん警備上だとか防犯上の理由とか言ってたんだと思う。
でもそんなのは「お前らみたいな庶民が天皇陛下を見下ろすなんてケシカラン!」ってことに決まってんじゃん。国家権力や身分制度ってものはこういうことやるんだっていうのをまざまざと見せつけられた体験だった。「知るか」と言ってそこに居続ければよかった。

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