『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を見たので感想をダラダラと ネタバレ注意
以下はベタ褒めではないので、そういうの見たくない方は注意を。
とは言っても格別文句があるわけではなく、楽しく見れました。
私はアニメでも実写でもアクションシーンが好きじゃない(苦手)ので後半部分はダレましたが、まあ何を見てもいつもだいたいこうなるのでマイナス点ではないです。
世間では最近"因習村"とかいう名前で呼ばれているらしい横溝正史的なミステリ物+αという作品で、多分に漏れず私もこういう横溝的というか三津田信三的なものは好きなので楽しめました。
ツイッターで見かけた感想には、『犬神家』的な世界観を入口に資本主義批判、旧日本軍批判、家父長制批判につなる……みたいなものがあってたしかにそのとおりだと思うのですが、入口だけでなく出口も『犬神』『八つ墓』『本陣』とかの横溝的な世界だと思いました。いわゆる"血の惨劇"です。
『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を見たので感想をダラダラと ネタバレ注意 つづき
公開直後からSNSで左派の方々が絶賛しているのを見て、もっとラディカルで直接的な体制批判の物語だと妄想していたのですがそこまでではありませんでした。この程度……と言ったら不遜ですが……やはりこの程度の反体制、反巨大資本というものは少なくとも海外作品だとごくふつうというレベルで、国内のアニメだともしかしたら珍しいのかもしれませんが取り立てて騒ぐようなものではありません。
とはいえ、エンタメとして成功するアニメでそれをやってくれたとうだけでも賞賛モノなのでしょうし、喜ぶみなさんの気持ちもわかります。
ちょっと気になったのが、水木がやさしすぎるという点でした。沙代にたいしてももう少し突き放したり、下心丸見えだった方が昭和のバリバリの野心家エリート復員兵サラリーマンとして自然だし、物語上も悲劇が際立つというものです。ただ、原作(漫画の『墓場の鬼太郎』、少し展開の違うアニメ版もあるらしいが漫画の方)の水木にあたるキャラクターがすごくやさしい人で、エンドロールの漫画のように鬼太郎を救い、育て、幽霊族との約束を律儀に守ったりするので、そういう要素を加味すればむしろやさしすぎる方が自然かもしれません。