杉咲花のインタビューがどれも素晴らしいんだよね。若林佑真・ミヤタ廉を交えて、制作陣で相当な対話を積み重ねたことが分かる。また、それを聞き遂げられる監督でよかったとも思う。
どうしても作品の筋に限界がある中で、ギリギリの綱渡りでつないだという印象もある。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/52-hertz-whale-sugisaki-wakabayashi_jp_65eaaaa1e4b0dce30d2390a7
https://www.gqjapan.jp/article/20240203-hana-sugisaki-kujira-24
https://www.cinra.net/article/202403-52hz_iktay
以上、安心できる要素はありながらも、批判すべき点は色々あるのも間違いない。「踏み越えられるべき作品として良い作品」という感想が正直なところ(実は杉咲花もこの作品を「乗り越えられるべき作品」と表現している)。
批判点はきちんと言語化できていないので、箇条書きでざっとメモしておく。
・トランスの悲劇はもう見たくない。
・当事者の俳優をもっと使ってほしい。
・あそこまでの直接的な暴力描写があるなら、本編開始前に注意喚起が欲しい(というか映倫の指定が無いのが不思議)。
・理解者であるはずのハルコ・キコ・アンの交流に、雑なコミュニケーションが多く見える(キコの最初の状況はどう見ても飲みに誘っている場合ではないだろう。その後のアンの行動が一貫して丁寧なだけに気になる)。
・発話=感動として描くのは失語症や言語発達障害への差別になりかねない(あそこは発声が無くても十二分に感動が伝わるシーンだったと思う。そのぐらい演技が素晴らしかっただけに残念。)