この記事によると、もとの脚本ではアンさんがトランスジェンダーだということは終盤まで明かされず、物語のトリックとして使われていたが、若林さんの意見で変更になり、早い段階で伝えられるようになった。その意見を杉咲花や志尊淳らも後押しした。で、今は宣伝の段階から、アンさんがトランスジェンダーであることは伝えられている。
実際、作品全体の内容や深みを考えても、この方が絶対によかったと思う。
結局、対話が成り立つ現場であったということが、批判すべき点が色々見えながらも、最後では「この作品好きだな」と自分が思える原点にあるんだろうな。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/52-hertz-whale-sugisaki-wakabayashi_jp_65eaaaa1e4b0dce30d2390a7
以上、安心できる要素はありながらも、批判すべき点は色々あるのも間違いない。「踏み越えられるべき作品として良い作品」という感想が正直なところ(実は杉咲花もこの作品を「乗り越えられるべき作品」と表現している)。
批判点はきちんと言語化できていないので、箇条書きでざっとメモしておく。
・トランスの悲劇はもう見たくない。
・当事者の俳優をもっと使ってほしい。
・あそこまでの直接的な暴力描写があるなら、本編開始前に注意喚起が欲しい(というか映倫の指定が無いのが不思議)。
・理解者であるはずのハルコ・キコ・アンの交流に、雑なコミュニケーションが多く見える(キコの最初の状況はどう見ても飲みに誘っている場合ではないだろう。その後のアンの行動が一貫して丁寧なだけに気になる)。
・発話=感動として描くのは失語症や言語発達障害への差別になりかねない(あそこは発声が無くても十二分に感動が伝わるシーンだったと思う。そのぐらい演技が素晴らしかっただけに残念。)