・ルックバックのPP①は京本との出逢いによって藤野が自分を「描く」ひとなんだと自覚するところ。そこらから「描く」という本作のメインテーマが前傾化する。
・劇中最大のショックとなる通り魔事件がMP。だから、衝撃的ではあるけどテーマに直結はしてはいない。
・その少しあと、藤野が京本の自宅の部屋の前で「描かなければよかった」と思うシーンこそが作中テーマを揺るがすPP②になっている(PP①の対照にもなってる)。
・だから第三幕を経ることで、藤野がふたたび「描く」ことには意味があったのだと思い直すラストに至り、テーマへの答えが示される。
第一幕のインサイティング・インシデント(藤野が京本の絵に驚愕する)、キイ・インシデント(京本にファンだと告げられ漫画家を目指してると言っていまう)も完璧だし、これ脚本術の教科書じゃないすか……!?
https://honto.jp/ebook/pd_33731020.html
『長安ラッパー李白』読み
表題作がまさかの反体制もの。唐詩(に限らないが)の押韻をラップに読み換え民衆の味方となって城壁に囲まれたまちまちを鼓舞するシーンは『両京十五日 天命』中盤の熱さを想起した。おかしさと悲しみのあるパンダSFも好き。多くが「文」にまつわる話だった。よく文を学び文を著せば立身出世に結びつく科挙制度(ざっくり言い過ぎだが)の浸透した時代ならではの物語群だなと感じると同時に、そんな制度があろうと自由になれない側にいる女性たちを語る「仮名の児」や「シン・魚玄機」が収録されているのも佳き。
好きの筆頭は巻頭の灰都とおり「西域神怪録異聞」。文章が飄々と歴史に穴を開け、未来も過去も織り交ぜて新しい「事実」に書き換えてしまうお話。文字を駆使したフィクションという小説の外見と内面の両要素を物語そのものに活かした手腕が見事だった。こういう、その媒体にしかない特徴を活かした「遊び」、好きです。この作品が巻頭でよかったなあ。
#読書
BFC本戦はだめでした~。こちらは文舵の課題をもとに書いたもの(というかBFC用原稿のつもりで書いた課題でした)
悔しい!!!
灰都とおり「神なるけもの」
https://kakuyomu.jp/works/16818093087889707420/episodes/16818093087889940166
◆SF・幻想小説を書きます。中央公論新社『長安ラッパー李白』に「西域神怪録異聞」掲載。ほか「エリュシオン帰郷譚」(Rikka Zine)、「文学少女生成デスゲーム」(anon press)、「絶対思想破壊ミーム小夜渦ちゃん」(沈んだ名)などがあります。 ◆VRChat用ゴシック人外アバターをつくります。boothショップ彼岸のプロムナードにて「ゴシックドール ナラカ」「神骸アルラト」「御影夜ミクラ」「屍姫サナクタ」を販売中です。 ◆阿部共実、浄土るる、矢部嵩、ピノキオピーなどが好きです。