『憲法(上)〔新版〕』佐藤功(445-446頁より)①
「能力に応じて、ひとしく」とは、教育を受ける権利における平等、すなわち憲法14条の定める平等原則の教育における適用を意味する。すなわち、人種・信条・性別・社会的身分・門地などによって教育を受ける権利が差別されてはならず、もっぱらその能力に応じて、教育を受ける機会を与えられるべきこと(教育の機会均等)を示す。教育基本法 3条 1 項は、このことを「すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであつて、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によつて、教育上差別されない」と定める。すなわちここに「その能力に応じて」とは、教育を受けることによってその人としての能力を向上せしめうる資質をもちながら、その資質とは関係のない他の事情によりそれが妨げられることがあってはならないことを意味する。