なんで音にこだわるかというと、もともと無文字社会の人びとの世界観には音がかなり重たい比重を占めていたはずで、音によって構成されるコスモロジーみたいなものを少しでも掘り起こせないだろうかみたいな研究をやろうとして挫折したからです。
たとえば記/紀とか上代日本の文字史料から聖なる動物(≒神意を伝達する動物)として描写されている動物は(中国の影響をのぞくと)鳥とか鳴き声が特徴的なものも多いが、鹿だけは声(岡田精司の言う鹿鳴聴聞儀礼とか)だけでなく、その耳にも大きな関心が寄せられていた。つまり、鹿だけは単なる神意伝達者ではなく、人の声を神へ伝える存在でもあったのではないか。みたいなのを書いて口頭試問でボコボコにされたりしました。アカデミックな方法論は向いてないな…となりましたが、でもおれはまだそんなに諦めてないぞッッ