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気になりつつ忘れていたのを思い出したので、九岡望『言鯨16号』を読みましたがおもしろかった。

本題とちょっと逸れるけど、読み手によってさまざまな作品を想起するような世界観ですね。ネタバレかもしれないけど、わたしは『零号琴』を想起したな。それと赤坂憲雄の『砂の女』論(一回目は「砂と水と風と」)とか。
solabook.com/clm/c011/c011-01.

アフリカのバンバラ族の創世神話(ファロやベンバやテリコが出てくる前段階)にもちょっと似てますね。すごく気になる神話なんだよな。アフリカの神話は結構複雑で興味深いものが多いけど、これは拡大解釈すれば、世界のはじまりは音だといってるようなものではという感じ。

恥ずかしながらSFにはあまり明るくはないんですが、音(楽)SFは気になるのでいくらでも読みたい。アンナ・スメイル『鐘は歌う』はあまりピンとこなかったな。妹がかわいそうだったし…

なんで音にこだわるかというと、もともと無文字社会の人びとの世界観には音がかなり重たい比重を占めていたはずで、音によって構成されるコスモロジーみたいなものを少しでも掘り起こせないだろうかみたいな研究をやろうとして挫折したからです。

たとえば記/紀とか上代日本の文字史料から聖なる動物(≒神意を伝達する動物)として描写されている動物は(中国の影響をのぞくと)鳥とか鳴き声が特徴的なものも多いが、鹿だけは声(岡田精司の言う鹿鳴聴聞儀礼とか)だけでなく、その耳にも大きな関心が寄せられていた。つまり、鹿だけは単なる神意伝達者ではなく、人の声を神へ伝える存在でもあったのではないか。みたいなのを書いて口頭試問でボコボコにされたりしました。アカデミックな方法論は向いてないな…となりましたが、でもおれはまだそんなに諦めてないぞッッ

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