しかし犬を捕まえて川に沈めようとするわ蛇は振り回す泥の中で取っ組み合ったかと思えば頭を掴んで川に突っ込む。抜き差しならない出口のない貧困の中で生きていかざるを得ない彼らの状況をナレーターは語るけれど子供達の尋常ではない躍動に引っ張られるようにちょっと可笑しい。「無二の親友でいつもつるんでいるが些細なきっかけでつかみ合いの喧嘩をする。1人は泥棒に1人は警官になった。」
警官が来ると蜘蛛の子を散らすように逃げ去り、逃げそびれた弟らしき小さな男の子を連れ帰りに戻ってきた少年はどれだけあんたらが水遊びを禁止しようが戻ってくるとふてぶてしく宣言する。日が沈んだ川辺で長い丸太に腰掛けてタバコを吸うシーンの静謐な美しさ。
「女性として生きること」労働者としての貢献を無視され続け、年がら年中子供を作らなければ神父に「神の恩寵を無駄にしないように」と諭され、出世の見込みのない単純労働に明け暮れ教育は受けられず、朝から晩まで働かなくてはいけない母親の代わりに上の娘が家事と兄弟の面倒を見ることになり11歳にして小学2年生の学力しか身につけられない。「女3代でようやく小学校2年生の学力に辿り着いたのだ」というナレーションが苦しい。
『イヌとイタリア人、お断り!』を観た後でヴィットリオ・デ・セータやチェチリア・マンジーニのドキュメンタリーを観ることができた幸運…ありがとうシネラ……