『愛なき女』(1952、ルイス・ブニュエル)

メキシコ時代のブニュエル。シュールレアリストぽいところのないメロドラマだけど、面白かった。
真ん中あたりで、20年後ぐらいに時間が飛ぶのだけど、その後でええええ、となる展開。

冒頭部分、古美術商の夫婦が会話するところで、変な感じにカメラポジションが低い。なんだろうなと思っていると、玄関が開いて夫婦の10歳ぐらいの子どもが入ってきて、夫婦のところまでやってくる。子どもは学校で友達のものを盗んだという疑いをかけられたが濡れ衣だというが、父親はそれを信じず口答えするなと頬を打つ。この子どもの顔の高さが、カメラのポジションになってる。
このその場にいないけど後から登場する人物のためにカメラの高さを合わせてある感じが微妙に変で、ブニュエルらしいのかもしれない。
でも、基本は愛なき結婚をした母親とその息子の葛藤を描くメロドラマです。


リンク先のDVDで見たけどアマプラにも入ってます。

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ネタバレ 

古美術商を営む夫婦と息子一人。家出して遠く離れた場所まで来てしまった子どもを若い技術者が家まで連れ帰ってくれたため、命の恩人として家族同様の付き合いとなる。しかし付き合いが続くうちに妻と技術者は惹かれ合うようになる。貧困から家族を救うため金持ち中年男である夫と結婚した愛を知らない妻は知的で優しい技術者を愛するが、男は仕事のためブラジルへと旅立ってしまう。
それから時がたち、息子は成人して医者となっていて、病院の開業を目指して働いている。傍には弟がいて良い家族として暮らしていた。が、ある日かの技術者の訃報が届き、その全財産をこの弟に譲るとの遺志が伝えられる。
(20年ぐらい時間が飛ぶのはいいとして、いきなりそばに弟が現れるのがビックリですよね。しかも昔の友人から全財産遺産って、弟はその男の子供ってことでしょ。えええっ。昔の映画って大胆なストーリーの省略することあるけど、ここまで大胆な省略はちょっと、なかなか、、)
そこから、長男と家族の間に亀裂が入り激しい葛藤が生じます。長男ほぼ闇落ちです。最後、母が彼との愛こそが本当の愛だったと認めると、葛藤を乗り越え平穏が訪れます。ハッピーエンドです。

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