『スキャンダル・シート』(1952、フィル・カールソン)

監督も俳優も知らない人ばかりの全然知らない映画だけどめちゃめちゃ面白かった。

「最初から犯人がわかってる」系の犯罪捜査もの。
ニューヨークの新聞編集長、”スキャンダル・シート”と揶揄される手段を選ばない取材と露悪的なスキャンダル報道で部数を伸ばしていたが、自分自身が誤って人を死なせてしまう。うまく事故に見せかけて隠蔽に成功したかと思ったが、自分の部下である若手記者が殺人事件の匂いを感じ取り、取材を初めてしまう。従来の報道姿勢の故に部下の取材にストップをかけることができず、隠蔽を図るも記者の取材は次第に犯人像を明らかにしていく。

じっとりとした焦燥感を表現する編集長役のブロデリック・クロフォードの演技がいい。若い記者役は、美男美女のコンビだけど恋愛要素を排して、男はトクダネ狙いの野心を代表して女は取材者としての正義感を持って、パートナーとして動いているのもいい。
思いがけないカメラ移動とか、クライマックスでの光の使い方とか演出上の魅力も大きい。フィル・カールソン、全然知らない名前だったけど覚えておこう。

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部数増至上で自分で育てた情け容赦のない取材マシーンとしての新聞が自分自身に向かってひたひたと近づいてくる怖さ。記者たちはその間もまさかその先に自分ところの編集長がいるなんて思わないまま取材を進めていくのが見ていて面白いんですよ。
あー、面白かった。

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あと、原作がサミュエル・フラーの小説ってクレジットに出ていた。

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