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『街の野獣』(1950、ジュールズ・ダッシン)

ジュールズ・ダッシンはハリウッドの赤狩りでブラックリストに入れられヨーロッパに渡った人ですが、この映画はその前にロンドンで全面ロケして撮影された作品のようです。戦後それほど立っていない頃のロンドンの街並みを捉えて魅力的。

主人公ハリーは、ナイトクラブの客寄せ(街の呑み屋や色々な場所に行っては、世間話の体裁で店を紹介する仕事)というケチな仕事をしながらもでかい仕事を掴んでやるぜあれこれと手を出しては失敗しているという人物です。
そのハリーが有名な元レスラーと知り合い、ロンドンでのプロレスの興業というビッグチャンスを得て奔走するが、そのために無理と嘘を重ねた事が積み重なってあと一歩のところで全てが破綻し自らを追い詰めることになる。と、そういう破滅物語です。

その必死だけど駄目だし頭の良くない、というか駄目だし頭が良くないけど必死なハリーが成功のために駆けずり回る姿を、若きリチャード・ウィドマークが熱量高く演じていて惹きつけられる。カメラワーク、照明もとてもかっこいい。傑作って言ってもいいのでは。

現代東京では、やはり小物のチンピラが目先の成功のために嘘と無茶を積み重ねる醜態を見せてますが、この映画のようには少しも魅力的ではありません。

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