ーー近年、創作界における「ボーイズラブ」や「百合」と呼ばれる作品が、ストーリー面で現実のセクシュアリティの多様性と当事者における葛藤を取り込む動きが見られます。私は、これは娯楽作品が非当事者によるフェティシズムを越えて様々なセクシュアリティを持つ人々の連帯へとつながることを期待しています。
一方でエンタメ作品が現実における社会問題を取り扱うことには、その当事者が置かれた社会的問題構造自体を娯楽として消費しかねない危うさも常に感じています。
そこで問われるものこそ、「志」に他なりません。
「『零合』創刊に寄せて」逢坂冬馬
百合総合文芸誌「零合」創刊号を読み始めたら、逢坂さんが巻頭言的な文章で問題提起されていた。