蓮實重彦『小説から遠く離れて』を100円で手に入れたので(古書価高騰中)、既に手元にあって半分読んで1年放置してたやつ読むの再開してる。
小説とは関係ない(=『小説から遠く離れ』た)説話論的な観点から、(物語構造に関する)ある一時期における作品群を分析する本だと思って読んでたら最後50ページくらいで
「……だから、ここまで語られてることは全部小説とは関係ない物語の話なんですよ。では『小説』とは何か? それを今からご覧にいれましょう……」
みたいな展開になりはじめてテンション爆上がりしてる。でもそういう本なら先に言ってよ!(物語構造分析する本なら後回しでいっかって思って放置してたんだよ)
批評の意義についてはこのブログも読む
そういや読み終わった。
「物語」(説話論)として還元不可能なもの、説話論の構造から言葉が逸脱し、独走しはじめるところに「小説」が存在する……「物語」は「物語」でやればいいのであって、それが「小説」になる瞬間が存在する、そういうことを「物語」について語ることで消去法的に示そうとした本だった。
ここで語られる「小説」が極めて特殊な用法であることは言うまでもないが、
・人類の歴史(主に西洋史)の中で神話や戯曲・叙事詩とは切り離された近代における「小説」というものの歴史的な異端性
を、「物語ではできないこと」としての散文芸術と、アナロジカルに結びつけ、位置づけようとするのは興味深かった。そのあたりは批評の意味、批評家の役割とも結びつけて語られてて(その辺の理解はかなりあやしい)、難解ではあるが刺激的な批評だった。
それはそうと、蓮實重彦の本は『夏目漱石論』を積んでるので実はそっちの方が気になるんよな。