酔った勢いでワンチャン。
彼氏がいるのは知っていたが。まあ気持ち良く酔って酔って、ついでに滑って転んで、あら気持ちがイイって事も人生には時折起こるものだろ？は？知らない？じゃあ、今回知ることができて良かったんじゃないか。悪くなかっただろ？
「……ファッ○……」
「お口が悪いぞ」
「テメェはチン○の素行が悪い……」
頭痛に耐える仕草で頭を抱える二日酔い男に、服を投げつけてやる。俺もインナーを拾い上げて首を通す。ジーンズに足を通すと、己の口の端が勝手に引き上がる。
「メチャクチャ泣いて善がってた癖に」
「死ねよ」
ヒックい声と共に、枕が飛んできた。構わずアロハを拾い上げて羽織る。
「言ったろ。事故だ事故。気にすんな。今日もお前は絶好調。何も問題ない」
ベッドの上で再び頭を抱えた男を慰めてやる気分で、近くに腰掛けて肩を軽く叩く。跳ねた頭を持ち上げた処刑人は、寝ぼけ眼みてぇな無防備な瞳で俺を見やる。
「事故？」
「そーだ。事故」
養父直伝の笑みを返す。
「事故、……」
再び額に手をやって頭痛と戦う男を残して、俺は先に部屋を出た。
車に乗り込んでタバコを一本。
「まぁ、事故はまた起こるかもしれねぇし、場合によっては彼氏とお前は致命的な重症かもしれんが」
そんな人生も良いかもよ？