Netflix『西部戦線異状なし』のネタバレ感想。
Netflix『西部戦線異状なし』鑑賞。1930年版より悲惨戦死描写が前面に出てとにかく呆気ない無駄死にの連発。リアルな映像で戦争の非人間性を突きつける。戦争責任を社会に問う1930年版に対し、戦地の悲惨さを強調した2022年版。
今回、戦争終結に努めたマティアス・エルツベルガー(ダニエル・ブリュール演)サイドの話が新たに組み込まれ、戦地に行かない教員が軍に志願しろと煽ったり(志願を決めた学生たちに演説する形に変わっている)、本国で戦地に行ったこともないジジイどもが休暇で帰って来た主人公にああだこうだ戦略を語る描写がなくなっていたせいで、一旦戦争が始まると突き進んでしまう社会への批判が薄かったように感じる。
個人的には1930年版で一番ぐっと来たのがその批判の部分だったので残念かな(原作はどうなんだろう?)。
なんか和平交渉の場で強く出るフランスが悪者っぽくなっちゃってたし。
おまけ(ネタバレあり)
映画のラストで停戦を目前にして主人公が死ぬ展開になったので、やっぱりBBCのドラマ『Passing Bells』を思い出してしまった。
あれはイギリス兵側とドイツ兵側のそれぞれ新兵が志願するところから始まって、停戦決定が長引いたせいで時間ギリギリで2人とも命を落としてしまうという悲劇のドラマ(ジャック・ロウデンとパトリック・ギブソン主演)。
このドラマは戦地から「愛する人の元に戻る」っていうロマンチックな目的設定があったんだけど、本当のところはただ生き抜くだけで必死だっただろうなあ……と『西部戦線異状なし』を観て思った。