それはそれとして『マーダーボット・ダイアリー』は本当に面白いな

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『マーダーボット・ダイアリー』上下巻の再読を終えた。あらすじは痛快な冒険活劇で(残りページ数、続編の存在が嬉しくなるタイプの)ぐんぐん読める面白い小説なのだけど、主人公の「弊機(最高の翻訳です)」が人間との心地よい関係構築に焦がれながらもひとりの時間が絶対に必要なひとであることや、作業をしながら意識の隅で、または意識の半分以上を割いて連続ドラマに耽溺する描写がどうにも愛おしく、抱き締めたいような気持ちになる。勿論実行はしないしすごく嫌がられるだろうが。

『マーダーボット・ダイアリー』のよいところをあげるときりが無いのだが、私が重要視しているのは「ただの面白い娯楽小説である」という点だな。「弊機」はクィアキャラクターとして読むことができるし当然のように「第3性(作中ではテルセラと呼ばれる)」「2人の配偶者」といった描写もある。作中世界で当然のことを過不足なく当然に描いている作品がただ面白いエンタメのガワをしていて、実際にただ面白いエンタメであることは本当に大事なことだと思う。

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