『リッチランド』は多角的な視点を持ちながら、核兵器そのものについて明確な批判の立場であることが伝わる良いドキュメンタリーだった。
犠牲者意識にばかり囚われ続けて加害の歴史を省みていないことや、被爆国でありながら核兵器禁止条約に批准していないこと、つまり、日本政府が恒久平和という名目ばかり掲げるだけで、いまなお実質的な平和への取り組みをなし得ていないことが、「偉大な功績」としての原爆投下論(もちろん相手がどうあれ原子爆弾という大量殺戮兵器を使うべきではないが)を助長させてしまう側面もあるのではないか、と思った。防衛費を増やし、沖縄の島々を軍事要塞化し続ける政府の言う「平和」を信じるのは困難だ。