『ただ、あなたを理解したい』の話(褒めてない)
「人を理解しなくても生きていける、この世の中だから…」というコピーに感じた違和感が形になっていたように思いました。
「相互理解は可能」という価値観と「相互理解は不可能だが共に生きることはできる」という価値観を対立させてしまうような帰着はあまりよくないのではないかなあと思います。しかも、それぞれを体現するのが「地方の人間」と「東京の人間」というのがいっそう良くないし、無用な対立を生んでいるうえに、ステレオタイプのようにも感じてしまいました。
そもそも祐也と葵の破局はその価値観の対立ではなく、単にディスコミュニケーションであるように見えます。葵は梓とのコミュニケーションを見るに結構聡明な人だし、「あなたを理解したい」と願うなら、そう思っていると断ったうえで祐也ともう少し立ち入った会話をすることもできたのでは、と思わなくもない。
あと妊娠というごくプライベートな話題を憶測で触れ回ったり、しかも成人しているその人に対して「なにやってんだよ」みたいなこと言うところ、「ウワ……」ってなりました。
でも鈴木昂秀さんの名前がスクリーンに一番最初に出てきたのを観てグッときてしまったので、わたしは鈴木さんのこと全然嫌いになんかなれないんだなとつくづく思わされてしまった。