「ルカナマルカの記憶」 https://video.unext.jp/title/SID0086372?utm_source=twitter&utm_medium=social&utm_campaign=nonad-sns&rid=PM032996308
ルカナマルカという小さな農村で起こったペルーの極左組織「センデロ・ルミノソ」による虐殺に焦点を当てたドキュメンタリー。
センデロ・ルミノソによる略奪、テロ行為、そして虐殺は全く肯定できないものだが、しかしセンデロ・ルミノソを弾圧する国家のやり口もまた残酷であり、それがきっかけとなりルカナマルカでの悲劇は起こっている。
共産主義にシンパシーを抱いていた村人及びその家族と、脅迫され思想に傾倒した者を密告せざるを得なかった村人のあいだの分断が悲しい。
このドキュメンタリーは無辜の市民があるイデオロギーの犠牲になった、というだけでは終わらないものになっていると思う。
ペルーという国家の権力や富の多くがスペインからの入植者に偏在しており、農村部で暮らす先住民のほとんどは貧しく、その間に大きな貧富の差がある。この虐殺も不均衡な構図の中で無視されてきたものであり、実際に検証が行われたのは虐殺から20年が経過してからだった。そして約束されたはずの補償のすべてもいまだに果たされていない、という内容。「植民地主義」はまだ根深い問題としてここにある。
わたしのいちばん好きな映画『悲しみのミルク』がこのセンデロ・ルミノソによるテロリズムに端を発する物語なので気になって観たのだけど、映画がポスト・コロニアルな結末にたどり着くことへの納得感というか、解像度が上がった感じがある。