この作品、前半は「社会に規定された普通」からはみ出して生きるひとびとのロードムービーなのだけれど、後半はタンのグリーフワークの物語なのかな、と思った。スン・イートンがタンの「なぜ人類は存在するのか」という問いに「宇宙人もそれを求めて地球に来てるのかも」と答えるのが良かった。スン・イートンという宇宙人は実存し、ゆえにタンという人間もまた実存する。「なぜ人類は存在するのか」という謎は謎のままそこにある。
後半はグリーフワークと宇宙という意味でデイミアン・チャゼルの『ファースト・マン』とかとちょっと手触りが似ているような気がした。