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吉野源三郎『君たちはどう生きるか』読了。
コペル君の家はどうやって生計を立てているのか、かなり謎いな。
十五年戦争の最中の東京のミドルアッパーの生活が書かれていて、劇場版の『窓ぎわのトットちゃん』をほんのり思い浮かべながら読みました。

主人公は中一の男の子で、お母さんとお手伝いさんと女中さんとの4人暮らしで、近所に叔父さんが住んでいます。主に主人公の学校での出来事が書かれています。作中、女中さんは1,2回ぐらいしか登場せず、お手伝いは出てきません。いるのにあまり認識されていない、この感じ、この感じですよ!ひゃはー!

この本は、『日本少年国民文庫』という子供向けの網羅的な叢書の中の倫理の巻で、だからこんなつまらない題名なんですな。
子供向けの全集を買える・読めるような層に向けて、そういう層の主人公を据えて書かれていて、そういう立ち位置に非常に自覚的です。
主人公の通う学校には主人公よりも裕福な家の子もいて、主人公は自分のことを普通だと思ってる節があるのですが、そうじゃない、恵まれているのだからノブレス・オブリージュを持てと、ギチギチに啓蒙してくるんですね。
始終訓誡を垂れてくる本なのですが、説教臭さがないのは凄いなあと思いました。

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