田野大輔、小野寺拓也、香月恵理、三浦隆宏、百木漠、矢野久美子『〈悪の凡庸さ〉を問い直す』読了。
人口に膾炙している〈悪の凡庸さ〉は誤用なんじゃないか、また〈悪の凡庸さ〉を問い直すとはどういったことかという、題名通りの本。
わたしはなんもかんも理解していないということが分かった。

まず、〈悪の凡庸さ〉は一般的には、善悪を棚上げした言われたことを諾々とやる「歯車理論」を表す語として用いられているが、アーレントに〈悪の凡庸さ〉と形容されたアイヒマンは組織の中で主体的に働いており、決して凡庸な悪ではない、といったことが書かれており。
また、アーレントは〈悪の凡庸さ〉を「歯車理論」を表現するものとしては用いていないといったことが書かれ。アーレントは〈根源悪〉と対立する概念として〈悪の凡庸さ〉を提示したと書かれ。〈根源悪〉はカントの提示した概念なんでが、まずそっからわたしは知らなんだわ。

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〈悪の凡庸さ〉の誤用が広まったのは、わたし達がその言葉を必要としたからなんだと思うのですが。何故あんなことを起こしてしまったのかを考えるには言葉が必要。
でも、二重三重に間違った言葉の使い方をして考えても、それはそれで危ういですし。
で、〈悪の凡庸さ〉とは何かと訊かれても、わたしには何も分からないな、と。〈悪〉も〈凡庸さ〉もどういったこたなのか、芯が掴めていない。

巻末に、オススメの本と映画を紹介してくれているのは、とてもありがたいです。

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