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湯本香樹実『夜の木の下で』読了。
短編集。とても良かった。
書かれているのは、主人公たちの子供時代の回想。階段を降りるように過去を手繰る。喪失の記憶。降る月の光のような透徹な悲しさ、静かな慟哭。水の底から見上げた夜の明るさ。
ひんやりとしたシーツのような質感の文章で、手触りが良い。

『夜の木の下で』、わたしは無茶苦茶好きな感じだったんですけど、ままならない生の話で、どうにもならなかった、どうにもできなかったことを振り返る話で、長じてもどうにもならなかったままで、願いは叶わず、祈りはあるといった感じで。物語の位置エネルギーはあんまり発生してないのですが。好き。

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