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川上弘美『神様』読了。
やわらかい。くまがいて、河童がいて、人魚がいて、絵本だ。これ好き。
輪郭が曖昧で、口の中に入れるとふわしゅわと溶けて歯応えがなく、懸命に記憶に留めておかないとすぐに消えてしまう。でも、あるんだよ、あったんだよ、心の底層にはあるんだよ。そんな感じ。
ぬるいお風呂に浸かって微睡んで気持ちいいけど、このままだと冷めて風邪をひいちゃうな、でもとろとろ眠りに引き摺り込まれてる。そんな感じ。

ゆるやかな連作短編の趣きですが、冒頭に置かれてる表題作の「神様」だけ少し手触りが違うなあと思ってたら、最後の短編でくるっと包括されてました。
文章に気負いがないのがいいですよね。角がない。
んで、出てくる食べ物の塩梅が丁度いい。
“くまは、フランスパンのところどころな切れ目を入れてパテとラディッシュをはさんだもの、わたしは梅干し入りのおむすび、食後には各自オレンジを一個ずつ”(「神様」より)

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