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村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』読了。
読んでて驚いたのは、前三作と同じ主人公だったことです。全部別々の主人公だと思ってたよ。話、繋がってなくない?
次に驚いたのが、主人公が安保闘争に参加して留置所にお泊まりした経験があるということですね。いや、嘘だろ、今までそんな情報なかったし(なかったよね?)、人柄的に嘘だろ。渋谷暴動の時に、騒乱を横目に半地下のバーで飲んでるような口だろ。

「ダンス」や「ステップ」といった言葉からわたしが思い浮かべるのは、能動的で躍動的なイメージなのですが、この話の主人公はとにかく自分から動きません。部屋で待ってると外部から問題なり解決なりが訪れて、それに最小限反応しているような感じです。言葉と行動がかけ離れている。
この物語からは、社会的成功や資本主義といったものに対する嫌悪や軽蔑を感じるのですが、かと言って主人公は社会的に上手くやれてないわけではないです。働かなくても困窮しないぐらいの貯金はあるし、働こう思えばすぐに職にありつける自負はあるし。
社会的に上手くやれる自分を手放さないまま、社会的に上手くやることへの違和感、嫌悪感を訴えていて、社会的に上手くやれていないわたしとしては「コンチキショーメ」と思います。

『ダンス・ダンス・ダンス』、作中で中学生の子が喫煙していて、主人公の僕はそれを「将来、生理が止まるよ」と一度ならず何度か、気に入った言い回しなのか注意する時は必ずこの言い回しで何度か注意する場面が出てくるのですが、でたん気色悪ぃ。
「身体に悪いよ」「肺がんになるよ」とかでもうっせえなあといった感じなのに、「将来、生理が止まるよ」とか最高に気色悪ぃ。
『ダンス・ダンス・ダンス』は、僕の一人称小説で、僕は自分の言動を気色悪いとは微塵も思ってないんですよね。
進んでカクテルは飲ませるのに、喫煙は注意するのもよう分からん。

んで、作者がどういうつもりでこのセリフを書いているのかさっぱり読み取れなくて、読んでて混乱するんですよ。とにかく気色悪ぃ。
注意された子が特に強い反応を示すこともなく交流を続けるのも、理解不能ですわ。
「将来、生理が止まるよ」の気色悪さをわたしは言語化できないんですが、とにかく、とにかく気色悪いですよね。
ただ気色悪いのみならず、この気色悪さへの言及が一切ないのも気色悪いですよね。
わたし、このお話とこの作者とお友達になれない。

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