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ディーノ・ブッツァーティ『神を見た犬』読了。イタリアの短編集。
明るい諦観を滲ませた飄々とした諧謔。「なんか嫌だな」という微妙な感じ。
「悪とは弱さから生じる一切である」というニーチェの言葉がありますが、これはその弱さを、文学にもならない微々たる弱さを許容した作品群だと思います。
文章に凝った感じがないのがいいと思いました。
例えば、“見たところ四十そこそこのその男は、文字どおり輝くばかりに美しい、シンプルで非の打ちどころのないスーツを着ていた。”(「呪われた背広」より)という一文なのですが、表現を削ぎ落としていて、必要な情報がバッチリ伝わってきて、いいと思うのです。

んでまあ、あれですね、星新一っぽい。
星新一の作品には異星人とロボットがいるけど、ブッツァーティの作品には神と聖人がおわします。
なんかまあ、疲れた時に読むのがいいと思います。読んでも特に元気にはならないけれど。味としては、薄甘い感じです。

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