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2022年11月17日
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ『戦争は女の顔をしていない』読了。
当時15〜30歳だった、独ソ戦に従軍した女性たちのインタビュー集。翻訳の所為か、口語体の所為か、当時の彼女らの年齢の所為か、文章から受ける印象は萌えでた新芽のように柔らかい。
ひとりの口から語り得ることは、その人が体験したほんのひとかけらにしか過ぎなくて。それら断片の集積。広い海の汀に立って、漣を眺めているような気分になった。
戦線と銃後の女性の断絶とか、『戦争は女の顔をしていない』というタイトルの意味とか、ミシンとか下着とか、いろいろぐるぐるしている。

日本は先の戦争を完膚なきまでに負けたので、他人の土地で何をしたのか忘れたふりをして、戦争の悲惨さを嘆くことができるけれど、ソ連は大祖国戦争に勝利したので、戦争を輝かしい誇らしいものとして語らなければならない、ということに思い至ってなかったです。

わたしはまだ、「人間は戦争よりずっと大きい」という言葉を、まだちょっと信じられないでいる。そうであったらいいな、とは思ってるし、500人以上もの戦争の話を聞き続けた作者がそう謳うのであれば、そう信じたいと思ってる。

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