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したため『擬娩』
妊娠の経験をシュミレーションするという実際の儀礼をモチーフに4人の俳優がその過程を見せる。徹底して身体的・動物的な感覚の語りで構成されていて、だからこそ男性の俳優もその経験を自分のものとして想像し演じることがやりやすくなっていると思う。逆に言えば、文化的・社会的な言説は終盤まで抑制されていて、途中少し物足りなく思っていたら、ラストの儀式の場面(黒魔術的な)で妊娠をめぐる社会的な抑圧への呪いがあふれ出てきて、そこにカタルシスがあった。
とはいえ、リプロダクティブヘルツライツをめぐる日本の状況を思えば、作品の大部分を身体性に徹して妊娠にアプローチすることがどこまで有効か、とは少し考えてしまう(作品が悪いのではなく今の政治が悪いのだけど)。医療技術的にはある程度解決できる身体的な苦痛が、法制度や経済的な理由で簡単にはかなわないということが多々ある現状を思うと(例えば経口避妊薬のOTC化が問題になるところとか)やっぱり社会的な価値観の部分をまず問わなければ、という思いが個人的にはあるけど、これは好みの問題かも。

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