青年団『日本文学盛衰史』
初演も観ているのだけど、今回は良くも悪くも明治~大正期の東京の文豪の…、というスペシフィックな話という風な理解が深くなって「文学とは」みたいな普遍性は弱く感じた。その見え方の変化は特に再演によるものではなく、留学の成果という個人的な要因かも。
各場それぞれの時期の作家たちを取り巻く状況の細かな描写と大振りと勢いの時事ネタのコントラストが割とはっきり見えて面白かった(作品の構造を知ってた有利さもあるか)。逆に四場後半は(戦後文学から大江、村上の言及を経たとしても)そんな普遍的な話につながる?と浮いていたような印象。明治の作家の考える文学や国語の問題は宇宙にまで飛ぶだろうかと、それを普遍なものとするならもう何段階か語りが要るだろうと、西洋かぶれ的には思ってしまったというか。
言ってしまえば、そういう日本文学史観はちょっと古いよねってことでもあるんだけど、オリザさんの作品の保守的な部分って、どこまで確信犯的に書いているのか測りにくいところもあって(それも含めての確信犯だと思うけど)だから批判しにくいよなーってのはよく思う笑。
とはいえ、とても面白かった。青年団作品の中では突出して賑やかなのも好きなところ。