Don't. Make. Tea.
Birds of Paradiseの新作のオンライン配信。福祉制度の改悪のためにベネフィット(すみませんこの例での定訳がわからないので片仮名のまま)を打ち切られてしまった主人公が自立支援の審査を受けるという筋立て。働く能力があるのか否か、支援を受けるに値するかを一度のインタビューで判断されてしまう残酷さ。言うまでもなく国の福祉はネオリベ的価値観で回っていて「柔軟に」審査対象の意欲や能力を評価していく。体の痛みをおしての活動は「可能」、皮肉を言えば「ユーモアがある」、障碍のために辞めざるを得なかった仕事への思いは「モチベーション」として読み替えられてしまう。

じゃあどうするか、のこの先がドラマでありフィクションで、そこはきちんとコメディで笑えるんですが。でも少しネタバレをするなら、この状況はドラマの中でも何も解決はしません。自身の尊厳を徹底的に損なうことでしかベネフィットが得られないというグロテスクな結論が本当にしんどい作品です。

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演出のソフトリー・ゲイルさんのインタビューで作品背景が語られていますが、コロナ禍の中で今こそ扱うべきテーマとして作られた作品がこれなんです。
bigissue.com/culture/theatre/p

あと、音声ガイドや手話通訳の作品への取り込み方がめっちゃ面白いです。観に来た人たちがフェアに同じように作品を楽しめるよう設計されているのが素晴らしいなと思います。

配信あるしネタバレになるかと思ってツイッターでは書くのを控えたのですが。審査の基準をめぐっての議論が軸になる一幕の終わりで主人公が審査官の首を絞めるというザ・クリフハンガーな事件が起こって休憩、後半はその後始末をどうしようという大騒ぎでドタバタコメディチックという展開で、前半後半でちょっと印象のギャップがあります。

two handerのまま通した方がすっきりはしたかもと思いつつ、個人的には二幕の台詞の方が刺さるものが多かった。審査官もその障碍者の妻も自助自立しか頭にないような人達なのに夫婦関係の相互依存の理想を語るのもこの二人だったり。あと、このカンパニーだからこそできるシーンだと思ったのは、世界を救うために何人なら弱者が犠牲になってもいいと思うかという乱暴な問いに、一人もそうあってはいけないと言う主人公が、では世界を救うために一人の金持ちの白人男性が犠牲になるとすれば?という問いには即答できないところ。

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