佐賀県で両親を殺害した19歳の長男への判決が出たのだけど、懲役24年はあまりにも重いのでは。
長男は成績が悪いと正座のまま父親から1時間以上も叱責されたり、「人間として下の下」という人格を否定するような暴言を浴びせられたり平手打ちをされたりと、身体的・精神的暴力に幼い頃からさらされていたらしいのに、そういった事情を汲んだ判決とはおもえない。
長男と父親のLINEでのやりとりで、父親が長男を励ましてることを指して検察側が「普通の親。愛情をうまく伝えられなかっただけ」と主張しているのもひどい。
極めつけは「残りの人生は消化試合」と口にした長男への、岡崎裁判長による説諭。被虐待者に虐待親の「愛情」を持ち出して「説教」をするなんてあまりにも醜悪だしグロテスクだよ。

mainichi.jp/articles/20230915/

こちらの記事では、証人として出廷した父親の弟さんが「父親は人の気持ちを考えられない性格で、長男の成績がよくないと頻繁に聞いていた」「強く当たっていたのではないか」と証言している。
臨床心理学の専門家からは、父親が学歴や職歴を偽って長男や周囲に伝えていたことについて「自身のコンプレックスを払拭するために、長男に厳しく高学歴を望んだ可能性がある」と指摘も出てる。
子どもを自己の拡張ツールと勘違いして、自身が達成できなかったことを子どもを通して達成しようとする父親の身勝手なリベンジマッチに長男が巻き込まれてしまった結果なのではないの、これ………
yomiuri.co.jp/local/kyushu/new

検察「普通の親。愛情をうまく伝えられなかっただけ」
裁判長「父親には長男への期待や愛情もあったはずで、伝わっていなかったことは残念」
裁判員「どこにでもあるような父と子の会話」

長男に殺意を抱かせるほどの虐待があったのに、第三者がそこに「愛情」なるものを見出せば父親の虐待行為が矮小化されてしまうの、本当にむごい。
親や親族の有害行動を「愛情の裏返し」と言い換えて、そこで起っている暴力や機能不全を暴力や機能不全だと認識できない/しないの恐ろしいよ。血縁関係が血の牢獄となった状態で生きてるひとたちにとって、あまりにも救いがない。

これ、長男へ気持ちが引きつけられてしまうけれど、父親が抱えていた可能性の高い強烈な学歴コンプレックスじたいは理解できる…うーん……

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自分は学歴もそうだけど「育ちが悪い」ことがとくにコンプレックスかな。こどもの頃に好きだった絵本の話をしてるひとを見るとほんとうに驚いちゃう…ああ、ふつうは絵本の一冊くらい家にあるものなのかって。
生活を保つのに手一杯だったから本や映画にお金を使えるようになったのもやっとここ数年で、だからそれがどんなに有名な作品でも知らないことが多い。そういう作品に触れてるとおもしろいと思うより先に、大勢のひとがあたりまえのように知ってるものを自分はまったく知らなかったのかという恥の気持ちが噴き出してきて落ち込む。
このへんのことはちゃんと向き合っておきたいけど、こうしてすこし文字にするだけでも劣等感と怨嗟で呼吸が浅くなるから、当分は慎重に距離を取りつつやっていくしかないのかも。

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