にゃ!つのくん!(夏野くんが人狼なのにネコ。屍鬼とは和解?してる)
尾崎病院の庭にある大きい木の枝に体を預け欠伸を一つ。ある日起きたら頭に猫耳と尻尾が生えてた。原因は不明。先生は『不明なことは大抵あいつのせいだ』と鼻息荒く桐敷家に乗り込んだけれど、辰巳は『流石に僕ができる事ではないですよ』と苦笑い。先生はそれが気に入らなかった様で、持ち込んでいた木槌を振り回して辰巳を追いかけまわしていた。辰巳は『理不尽です〜!』と叫んでいたけど、とても嬉しそうだったので俺が止めさせてさっさと尾崎病院に帰ってきた(辰巳が付いてこようとしたけど、先生が手作りの十字架で撃退してた)結局原因は分からず、特に不便さはないのでそのままにしているけれど、人狼だけだった時よりも五感が敏感になっているようで声や気配等が気になっていたら『昔は俺もそうだったな。木登りなんかして人を避けてた』と学生時代の先生にならって、先生を見れてなおかつ他の人間には見られない木の上に避難するようにした。木の上は風通しもよく尚且つ人は来ない。顔を上げれば遠目ではあるものの大体先生を見ることができる、快適な生活を過ごしている。
「夏野くーん」
遠くで先生の声が聞こえ、頭の上の耳がピクピクと動く。
にゃ!つのくん!3(夏野くんが人狼なのにネコ。屍鬼とは和解?してる)
「なぁ〜う」
ごめんなさいと一声鳴いて頬を舐めれば、先生は「まったくもう」
と怒った様な口調で言うけれど、声と顔は優しくて。その声と顔に益々喉がゴロゴロと鳴ってしまう。それに先生が笑って顎の下を優しく擽り
「ご飯、食べようか」
と言って頬を擦り寄せてくれるから、俺はもう一度愛らしく鳴いて先生の煙草味の唇をザラリと舐めたのだった。