ETV特集 巌とひで子 ~袴田事件 58年後の無罪~
https://plus.nhk.jp/watch/st/e1_2024100504385
袴田さんは獄中で手紙や日記を書き続け、当初はそのなかでも無罪を叫び続けていた。けれども、死刑が確定した頃を境に、その記述は変わっていった……というその変化が強烈だった。
その描写の過程で、1982年5月に書かれた以下の獄中記が引用されるのだけど、58年という年月はただ長いだけではなく、無実にもかかわらず命の瀬戸際に立たされ続けた58年というのは本当に想像できようもないと思わされた。
〈普通の人から見れば/恐らく死刑囚は過去の者です/社会人がとうてい/のり越えることができない/暗い時間というべき生の放棄/その血も止まる恐るべき空気が/死刑囚と娑婆の人の間に/ただよっています〉
NHKスペシャル、なんというか陽のトーンを感じるサムネで、まるで「闘いに勝ったのだ……!」的トーンの番組であるかのようにも感じられるけど、内容がETV特集と同様なら全然そんな感じではないはず……違うまとめ方になるのかもわからないが……ご覧になれる方ぜひ……
NHKスペシャル版は、このサムネ通りだったな……という感想。
全体的な構成は、ETV版と体感7割方同じなんだけど、全体的に表現がマイルドになり、「あきらめず闘って勝った」というストーリーを主軸に仕立ててた、という印象。私が引用した獄中記も放送されてなかったし。
ETV版は、袴田巌さんの変遷を淡々と映し、それが58年の長さを深刻な取り返しのつかないものとしてつきつけてきたすごみがあったと感じた。
NHKスペシャル版は、説明がていねいになったのはよかったと思うが、私はもう一度見るならETV版を見たい