アニメではあんな感じのなおちゃんだけど、マンガではどうなんだろう。
田島列島『子供はわかってあげない』における重要キャラクター、アキちゃん(門司くんの"兄")の、マンガでの描かれ方と実写映画での演じられ方の乖離を思い出す。マンガ内でもちょこちょこ危うい表現はあったが(門司くんに”兄”と紹介されたり)、田島列島の絵柄も相まって、他のキャラに明かされない限りマンガ内世界(そしてマンガの読者)ではアキちゃんはパスしているように見えた。アキちゃんは田島列島の次作『水は海に向かって流れる』の終盤にも一度登場するのだが、そのときアキちゃんは誰からもジェンダーについて言及されなかったから、『水は〜』しか読んでいない人にとってアキちゃんはシスジェンダーの女性キャラクターにしか見えないだろう。
でも実写映画ではそんなアキちゃんのイメージ(マンガの絵柄によるパス)はぶち壊されていた。中性的な顔立ちの男性俳優が起用され、髪型もスポーツ刈りレベルの短さに改悪され、「オカマ口調」で喋る実写オリジナルのシーンが足され、アキちゃんは完膚なきまでに「(露悪的なまでにばればれの)トランスジェンダー女性」に仕立て上げられていた。最悪だった。
『ユーフォリア』の日本語吹き替えで、ハンター・シェイファー演じるジュールズに女性声優があてられていたのはうれしかった。