12/1刊行予定のインディーズ復刊本『灯台へ』(ヴァージニア・ウルフ、葛川篤訳)の、本文試し読み画像と、森山恵さん・斎藤真理子さんによる推薦文を公開します。
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100年前『灯台へ』と、ひとり船出した早逝の詩人がいた!
忘れられた翻訳が海神のように甦る。テンポ、リズム、緻密で洗練された語彙。
輝ける訳業に心揺さぶられます。
日本にウルフ文学をもたらした葛川訳の発掘!
*森山恵(詩人・翻訳家)
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もっと長くここにいたい、この翻訳に終わってほしくない。一行ごとに扉がひらき、百年前の日本語が燈台の光を点滅させる。
「あ ここにゐたのだつけ」
――私の意識の波打ち際に、誰のものかわからない記憶が押し寄せてくる。
*斎藤真理子(韓国文学翻訳家)
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※以下、スレッドに続きます。
そして推薦コメントについて。
同人誌版の『かわいいウルフ』を作ったあとに、『ウェイリー版・源氏物語』を読んで衝撃を受け、森山恵さんとお会いしたのが2020年でした。
ご縁があって、そのあと『波〔新訳版〕』でお仕事をご一緒させていただきました。本書のコメントを頂くならまず森山さんに、と願っていました。
葛川は早逝した翻訳家ですが、そのキャリアは実は詩作からスタートしています。訳文にも詩を書く人の目線が入っていると感じます。そうした葛川訳と、森山さんの詩人の魂が響き合うようなコメントです。
そして斎藤真理子さん。
ハン・ガンさんのノーベル賞受賞も記憶に新しいですが、かねてより、翻訳家としてはもちろん、20世紀、特に昭和の文学(日本語・朝鮮語問わず)の読み手としても、すばらしいお仕事をなさっていると感じていました。
まるで一篇の詩のようなコメントをいただき、感無量です。
まず試し読みについて。
今回、戦前期の日本語の雰囲気をぜひ味わっていただきたいという編集方針で、旧字はできるだけ(今回の使用書体で表現できるぶんだけ、という意図で)そのままにしています。
新字に直すことも検討したのですが、旧字のテキストに漂う、なんともいえない硬派な雰囲気を読者の方にも体験していただきたいと考えました。ルビの数がとても多いですが、少しでも読みやすくなるよう、デザイナーさんと努力しました。また、必要に応じて編者の判断で注をつけています。
ぜひ、現代の翻訳と読み比べてみてもらえたらうれしいです。
(続く)