「突然すみません。この近くに住む◯◯の孫です。大変急なお願いで恐縮ですが、私をこのクラスに入れていただけないでしょうか。
事情があり今私は中学に通えていません。でもここなら通えます。ここにいたいんです。
転入が無理なら教室の片隅に置いてくださるだけで構いません。机も椅子も要りません。立っています。私のことはいない者として扱ってください。ただ、ただここにいたいんです。
すみません、先生の一存では決められませんよね。管理職の先生は職員室にいらっしゃいますか?お話させていただいてもよろしいでしょうか」
激情は静かに自分を力づけ、言葉は淀みなく口から出た。どうして急にこんな気持ちになったのかは分からない。でも私はここにいなければならない。いるべきだ。だって私自身がこんなにも強くそう感じている。
教師は私の言葉を聞きながらしかし、一言も返さず目も合わせない。どうしたものかと考えあぐね、困惑している様子だった。
私は少しも寒くはないというのに季節は冬らしく、教師は口から白い息を吐きながら教室の隅の古いストーブの前に座り込み、かじかんだ手を何度も擦り合わせる。生徒たちは誰ひとり言葉を発さず、私たちのなりゆきをじっと見つめていた。
そこで目が覚めた。その後、夢の私はあの教室で過ごせるようになったんだろうか?