マティス展よかった話。
4年ほど前に箱根のポーラ美術館で観た折はモネとの空間対比をテーマにした展示でとかく人⇔マテリアルの印象に終始したが今回の展示では画家自身の人柄のやわらかさとか境界線の限界への探究とかについて面白く知れた。
礼拝堂の内装デザインを手がけた仕事の一抹が映像作品になって展示の結びを飾り、それがほんとうに良かった!泣きたくなるほど綺麗だった。
礼拝堂の建物だけじゃなくヴァンスの街や自然への想いが丁寧に織り込められていて。
このロザリオ礼拝堂がどんな場所か気になってあとから調べるとカトリック・ドメニコ会によるところで、異端者の帰正、すなわちキリストを捨てたもの愛してこなかったものへ差し伸べる手を重要とした、駆け込み寺のような特徴を持つらしい。
マティスが「信仰を持たない者でも心が冷静になる場所であるように」と志したのは在りし日の礼拝堂の存在意義に図らったか、いずれにしても優しさに満ちていて、ここを訪れてみたいとついつい思いを馳せる。かれが格別に美しいと話していたらしい冬の陽光を、礼拝堂のステンドグラス越しに浴びたらどんなにかすてきだろう。