マイケル・オンダーチェ『家族を駆け抜けて』(原著1982年)読了。
オンダーチェが11歳で離れた故郷スリランカを舞台にした小説はこれと『アニルの亡霊』だけだと思うのだが、特権階級バーガーの出身であっても直面する、ルーツへの思慕と哀切を感じさせる小説だった。訳者あとがきに「ポストコロニアルとしての責務を果たしていない小説」云々との批判の紹介があったが、それへの回答は2000年に上梓された『アニルの亡霊』でやってるんじゃないかなあ。
『アニルの亡霊』も読み返したくなった。
訳はスリランカの固有名詞等、誤表記が多い。