「……そんな夢を見たんだ」
起きるとそこは救護室のベッドの上で、見舞い用のささやかなテーブルにフォルネウスが頬杖をついていた。それでちょうど先程まで見ていた夢を思い出したのだが、話を最後まで聞いたフォルネウスは枕元に近づき、ソロモンの額に手を当て、熱を計りながら、「悪い夢を見たね」と言った。
「そうかな……でもさ、フォルネウス。本当に綺麗な海だったんだ。今でも本当に……お前と一緒に行けたら、楽しいと思って……」
フォルネウスの大きな手が額に触れると、目元まで覆われて真っ暗になった。水から上がってきたみたいに冷たい手が今のソロモンには心地よかった。