瀕死の傷を負って昏睡状態のときに見た夢で、ソロモンは一人で海に立っていた。
青いな、綺麗だ、そういえば今日は随分暑いからきっと泳げば気持ちいいだろう。そう思って靴を脱いで、ソロモンは着の身着のままざぶざぶと海に入っていった。水はとても冷たくて、海底にびっしり海藻が生えているのか、泳ぐ足元は真っ黒だった。もう少しで岩礁に足が届かなくなる、というところで、「行くな!」と叫ぶ声に引き止められた。
「そっちは駄目だ、親友。帰ってくるんだ」
フォルネウスだった。恐ろしい剣幕で迫られて、ソロモンは渋々浜へ引き返した。振り向くとなおも海は美しく見えた。フォルネウスとそこに行けないことが残念だった。